■ Dear Magical Girls
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作者 [ GIGABlock Studio さま(開発) ]
[ Jungle Game Lab さま(販売) ]ジャンル [ タワーディフェンス ] 容量・圧縮形式 [ 300MB(解凍後)・Steamからインストール ] 製作ツール [ Unity ] 言語 [ 日本語・韓国語・英語・中国語など ] 備考 [ 要・Steamクライアント ] 配布元 https://store.steampowered.com/app/4914610/Dear_Magical_Girls/
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レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 7 /10 9 /10 9 /10 51/60 ![]()
赤松弥太郎 8 /10 10/10 8 /10
人が「魔」と化すのは、身体からか心からか。
本作、「Dear Magical Girls」のジャンルはタワーディフェンス。基本となる「配置」は複雑ですが、段階的に学べるレベルデザインになっています。
- 基本は、頂点と直線で作られた「陣地」。これをドラッグで移動させ、中央の主人公を守る戦闘配備を行う。
- 画面内にはランダムで「魔法石」が出現する。プラス効果のある魔法石を陣地内に入れ、マイナス効果を持つ魔法石は陣地から外すのが、本作攻略の基本。
- 基本の武装は、直線上を移動する「魔導砲」。砲塔の周りにある円形に敵が入ると迎撃するもの。この範囲に敵を収め、効率的な射撃を行えるよう、強力な敵の前には直線を狭め、弱敵の大軍の前では直線を広げる配置を要する。
- ストーリーを進めるごとに、3つの追加武装が解放される。いずれも特性が強く、それを理解すれば強力ではあるが、特性を理解しないと倒せる敵を見逃す事態も発生しかねない。
- 陣地外には攻撃できない「エーテルボール」、攻撃範囲が頂点にしかない上に攻撃間隔も広めの「レーザー」、直線上に1つしか存在できないため直線を広げるほど効果が薄まる「循環」など、追加武装はそれぞれ大きな短所持ち。
- ただし、その短所を埋めたり、長所をより強めてくれる追加効果の装備も、ストーリー後半で解放される。後半ステージは、この追加効果も理解した上での装備設定が重要。
- 攻略において理解すべきは、自分の武装の性質よりも、敵側の特殊能力。「頂点移動を止める」「マイナス魔法石を生成」「陣地境界線で反射しないと大ダメージを受けるレーザー」など、本作の敵は「知らないと最低難易度でも即死級」な特殊能力を持つ者ばかり。
- 特に、おまけモードであり最終面の「ナイトメア」は初見殺しの極致。「魔法石を陣地内に入れるほど溜まるゲージで攻撃力UP」「ゲージが100%になると数秒ほど攻撃が止まる」仕様が突如追加される上、ラスボスがこの仕様を生かしまくった特殊攻撃を放ってくる。
「ナイトメア」を含めた全ステージを(最低難易度で)クリアした私ですが、「ナイトメア」ラスボスは他者の攻略を参考にせざるを得ませんでした。ボス特性のすべてが「時間をかけるほど不利になる」、Game Over後の再開はWave 1からと、とにかく「詰まった箇所の攻略法をプレイしながら探る」には不利な仕様が、本作には多く存在します。
そして、こんな難関をクリアした「ご褒美」であるストーリーにも辛口ポイントが…しかも、本作最大の辛口ポイントが存在します。以降はネタバレ対策で隠します。
ネタバレ覚悟で、そして端的に言いますと…本作のストーリーはかなり「投げっぱなし」です。
ストーリー展開内には、親戚である一般人・リリィとの確執、先輩・シャーロットが発見し、主人公・アリンに託した「魔法少女の秘密」、その中でアリンが下した「決断」と、かなりの伏線を広げていました。
王道…ありふれていながら期待度は否応なしに高くなるストーリー運びから、ゲームを進めて目の当たりにした結末は…メインストーリーの結末も、その後の「ナイトメア」の結末も、「ぶつ切り」感が強いものでした。登場人物たちの行く末も語られず、一枚絵のThe Endで本作のストーリーは閉じられます。
本作、開発がかなり難航していたようで、「開発者たちに時間があれば、市街地もあったでしょう」など、その難航ぶりが透ける実績まであります。
なおかつ、ストーリー完結編の「ナイトメア」も、本作リリース時の2026年7月末にはマトモに実装されていませんでした。「ナイトメア」の正式リリースは2026.08.14のv1.1.0。そう、当サイトが「Dear Magical Girls」をイチオシにすると告知した時点でも実装されていなかったのです。ストーリーの完結を「リリース後の追加コンテンツ」として後回しにしていたのです。
これは、序盤の印象だけを見てイチオシに推薦した私にも責任があります。少なくともゲーム仕様に破綻は無く、下げれば誰でもクリアできる難易度、4つの武装により広がる攻略法、謎が謎を呼び絶望的になっていくストーリーと、道中の展開は本当にワクワクさせるものでした。indexに記載したとおり、本作は色々と情報を仕入れる前にプレイして欲しい作品です。「衝撃を味わう」と言う良性の意味でも、「ネタバレを知ってしまうとプレイ意欲が失せる」と言う悪性の意味でも。
難易度もプレイ時間も(調整すれば)「お手軽」。ゲーム内外に込められた「諸々」…作りこまれたゲームデザイン・賛否が分かれるストーリー・開発の修羅場…が余すところなく味わえる作品です。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:8
ここから先に絶対 行かせない覚悟がバリケード
マイナスアイテムを避けつつ結界を展開、魔力を確保、前線を構築。そして自走砲やレーザー砲、回転ノコギリで敵を殲滅する……
これぞ魔砲少女の正しい姿です。
フォーマットとしては紛れもなくタワーディフェンスです。
そこに陣取りの要素を追加することで、本作の独創性が生まれました。
結界を広げるほど得られる魔力は増えるが、砲台の間隔が広がり、撃ち漏らして前線を突破される可能性が高まる、というトレードオフにあります。
敵は、砲台を攻撃することこそ無いものの、多種多様な攻撃を繰り広げます。
突進やタメ撃ちビームによる本体攻撃、分裂や繁殖による物量攻撃の他にも、アイテムを持ち去ってバラバラの位置に置く敵、一定期間のデバフを設置する敵、結界石を固定する敵が次々と登場します。
なので結界は一度展開して終わり、というものではなく、状況に応じてこまめに動かす必要があります。
基本的にポーズしてから動かす指示を出しますが、結界石は動くのに時間が掛かり、即時反映されないため、ある程度の先読みも要求されます。
さらにボスともなれば、毎回違ったギミックでプレイヤーに戦いを挑んできます。
攻撃一辺倒では、勝ちきれません。
次々にバリエーションが増える攻撃と、それへの対処が本当に楽しい作品で、本編クリアまで存分に味わわせてくれます。
今までのボスの攻撃すべてを繰り出すラスボス戦は、結界の作る点と線と面、すべてを意識する必要に迫られるでしょう。
とはいえ、難易度ルーキーであれば、誰でもギミックをきちんと理解した上でクリア可能な難易度です。
中核である戦闘シーンについては、しっかりと仕上げてきた印象があります。
グラフィックも明瞭だし、サウンドにも没入感がある。
ただそれ以外、ストーリーに関しては……。
いや、Jungle Game Labの特性上、すべて完璧に仕上げるのが至難なのはわかってますよ。
同期作品の中では、ストーリーやバックボーンも比較的仕上げてきてたからイチオシに選ばれてるわけですし。
ただ、プレイヤーとしては遊んでるゲームがすべてで、制作側の〆切とかの事情は関係ないっちゃないですから……。
えー、過去のイチオシで度々登場してる「Jungle Game Lab」について、今まで何も説明してなかったので、ここで解説します。
Jungle Game Labは、KRAFTONが運営する教育プログラムです。ただ、専門学校みたいなのをイメージすると、ちょっとズレるかも。
その特徴は、超実践型かつ超短期集中型であることです。
エントリー後、一次選考では会場で、制限時間内に課題を制作し、提出することが求められます。
その上で二次選考の面接を突破した30~40人の精鋭だけが、合宿所に招待されます。
半年に及ぶ軟禁生活の始まりです。
最初の2ヶ月は座学や分析に加え、チームを変えながらゲームジャムを繰り返し、チームでのゲーム制作経験を積んでいきます。
次の1ヶ月は卒業制作に向けての準備。まずチームを本決めして、コンセプトのたたき台を作ります。
そしてその次の2ヶ月で本制作、KRAFTONのQAチームも交えたブラッシュアップを経て、最後の1ヶ月でSteamでのリリースとユーザー分析、アップデートまですべて実地で体験します。
ここまで経験していればゲーム会社としても即戦力として採用できるでしょう、というわけ。
みなさんご想像の通り、めっちゃキツいカリキュラムです。
4~5人いる分個人製作より手が回るかと思いきや、志高いメンバーの意見はぶつかり合い、その調整で時間はみるみる溶けていきます。
公式サイトでは「週6日フルタイムで学習することを推奨」とありますが、寮は講義室のすぐ近く、講義室は24時間開いており、自ずと徹夜へと突き進んでいきます。
それと、ボクはずっと誤解してたんですが、ローカライズもチームの自前でやってます。KRAFTON関わってません。
どおりで翻訳の質がバラバラなわけですよ……。
一期生のインタビューを読んでも、「苦痛の楽園」だの「適者生存」だの、物々しい言葉が並んでます。
そういう背景を知ってると、本作のストーリーへの見方も変わってきませんか?
いえ、単純に魔法少女たちのデスマーチっぷりの話だけではありませんよ。
本作の実績に、その名も「開発者たちに時間があれば、市街地もあったでしょう」というものがあります。
厳密に一本道で、寄り道が一切許されていないストーリーに対して、本作の探索画面は明らかに過剰です。本当はもっとやりたいことがあったはずです。
この実績の条件そのものから、そうした諦めてしまったものへの未練が見て取れます。
本作のエンディングにも、おそらく制作時間の不足が影響してます。
議論はあるでしょうけど、バッドエンドの方が作るのが楽なんです、多分。
グッドエンドにするためには、タイミング良く、1つずつイベントをクリアしていく必要があるところ、そこから1つ要素を抜けばバッドエンドにできるわけですから。
ボクは当初、本作のケリの付け方には良い印象がありませんでした。
そういった、設定をなぞるだけなぞって時間切れで放り投げたバッドエンドにしか思えなかったからです。
少し評価を改めたのは、ナイトメアモードをクリアした後です。
エンディングの説明だと、エンドレスモード的な、長く遊べるコンテンツを想像しますし、実際そのような計画だったようです。
しかし、本作のために使える時間はもう残り少なく、やりたいアイディアは本編で出し尽くしている。
「思っていたほど面白いステージにはならない」「ボリュームを増やすことよりも、実際にプレイしたときの楽しさを優先する」という判断があり、現状の、エンディング後の物語を描くステージ10ができました。
しかして、気になるその結末は?
これは救済なのか、それともただの蛇足なのか?
……ぜひ、皆さんに判断してもらいたいなあ。
ボク自身の判断は保留しつつ、評点に移ります。
- ハマリ度 : 8 / 10
- 本作の日本語訳は、可もなく不可もないレベル、特に日常シーンでの違和感が強い。AIにキャラ設定や台詞毎の心情ごと読み込ませると精度が上がったりしないだろうか。
ステッキのメンテナンス画面は使い勝手が悪い。モジュールを選んでから離れた場所にある[装着する][装着解除]ボタンを押すのは面倒で直感的でない。2つモジュールを装着した状態で[装着する]を押した時、どのモジュールが装着解除されるのかもハッキリしない。刻印については「機能型刻印1つ、ステータス型刻印1つを選べ」と最初に軽く説明されるだけで、どれが機能型刻印でどれがステータス型刻印なのか、そのうちの1つしか選べないことも何も誘導がない。そして外したモジュールの刻印は保存されず、再度装着すると刻印の選び直しになる。
レベルデザインは1面ボスが一番面倒だった印象。「線を作ってボールを反射、動くボスに当てろ」なんて課題は初っ端にやらせるべきものではない。- グラフィック : 10 / 10
- 画面には統一感があってスッキリと見やすい。プロモードでも敵の予備モーションもちゃんと見えるし、見て対処ができる。タワーディフェンスにありがちな、敵がゴチャゴチャしすぎてわからん殺しされる、という事態を防ぐ努力が見て取れる。
- サウンド : 8 / 10
- 極限にまで抑えた曲数。ラスボス戦であろうが特に何も変わりなく、日常の業務として対処する感じ。
特に長く聞くだろう戦闘曲はグルーブが心地よく、集中している状況でも長く聞ける作りで好印象。こう考えると、Jungle Game Labの後も続編を作るチームって、本当にすごい人たちなんだってわかりますね。
就職したり元の生活に戻ったり、そうそうゲーム制作に関わる時間も作れないでしょうに。
Frostrain2はリリースされました。D1AL-ogue+もぜひ続いてほしいところです。
インディーゲームはいいですよ。なにせ〆切が存在しない。
〆切に追われて色々なものを諦める、妥協する、そういう苦しみとは無縁な世界です。
その分、半年間ゲーム制作だけに没頭する、なんて贅沢は望めないわけですが。
日常生活との両立、薄まり続ける創作意欲、そして果てしなく続く制作をいつ終わらせるか、自分で決めなければいけないという別の苦痛が味わえる……
素晴らしいじゃありませんか、ねえ?